ソルティア

SOLTIAコラム
WORLD 》Vol.1

第1回は「ニューヨーク」から。
物価上昇に歯止めのかからない日本ですが、ニュースでも伝えられているように、アメリカの物価高はさらに上をいく厳しさのようです。今回はその状況を、「クイーンズエリア」に暮らすコンサルティング会社勤務の“ピーター”が取材。世界有数の大都市の、リアルな”今”をお伝えします。
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  • こんにちは、日本の皆さん。私は”ピーター”です。
    今回はニューヨークの物価高についてレポートします。ニューヨークの生活費は世界でも1、2を争うほど高いと言われていますが、最近はさらに大変なことになっています。

    その代表が家賃です。
    新型コロナウィルスが流行し始めた頃は多くの企業が在宅勤務に切り替えたため、みんな郊外に引っ越していき、ニューヨークのアパートの家賃はかなり値下がりしました。空室も多くなり、家賃の最初の2〜3ヶ月分が無料になる部屋もありました。でも今はその逆で、オフィス出社を命じる企業が増えていて、大勢の人たちがニューヨークに戻り始めています。

    その結果、家賃は30%くらい値上がりして、これからもっと上がっていきそうです。条件のいい部屋には内覧の行列ができているところもあるくらいです。

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  • 自宅リビングからの眺め
    自宅リビングからの眺め
  • 大人気のカット牛肉“Top Blade Sirloin”
    大人気のカット牛肉
    “Top Blade Sirloin”
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  • 1.ニューヨーク市内のスーパーマーケット 2.野菜代わりに使うミックスベジタルの缶詰め 3.便利なランチョンミートの缶詰
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  • 当然、食品も値上がりしていて、僕の場合、スーパーで1週間分の食料品を購入すると、だいたい100ドルくらいだったのが、今は120ドルくらいになってしまいます。これはかなりシビアな金額です。

    そんなニューヨークで人気なのが、“Top Blade Sirloin”というカットした牛肉です。以前は安い肉の代名詞だったのですが、塊肉があまりにも高いので、この“Top Blade Sirloin”を買うことで食費を抑える人たちが増えています。

    大人気のカット牛肉“Top Blade Sirloin”
    大人気のカット牛肉
    “Top Blade Sirloin”

    ほかにも、生野菜の代わりにミックスベジタブルを使ったり、日本でも馴染みのある“ランチョンミート”などを積極的にメニューに採り入れることで、なんとか物価高に対応しています。

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    1.ニューヨーク市内のスーパーマーケット
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    2.野菜代わりに使うミックスベジタルの缶詰め
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    3.便利なランチョンミートの缶詰め

    もちろんレストランも値上がりしていて、例えば金曜日の夜に2人で外食すると、食事代とチップで100ドル、飲み物代で50ドルくらいは覚悟しないといけません。
    ブランチでも2人で120ドルくらいはかかります。でもまあ、この街での外食は前から高かったから、もしかすると、家賃や高熱費の値上がりに比べれば上昇率は低いのかもしれませんね(笑)。

  • さらに問題なのが自動車です。ニューヨークではマイカーを持つこと自体が贅沢なのですが、今や1台あたりの価格が10,000〜15,000ドルくらい高くなっています。ガソリン代も30%以上値上がりしているから、マイカーを手放して移動手段をUber(taxi)にシフトする人も多くなっています。

    でも最近では、企業が社員をオフィスに出社させるのに必死で、Uberの乗車代を通勤費として支給するところも出てきました。それがさらに需要を高めて、Uber自体が値上がりしているという市場のサイクルも発生しています。

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  • 日々の厳しい環境をなんとか変えようと、対策に乗り出している人たちもいます。そのひとつが、収入をアップするための転職活動です。

    けれど近頃は、世界的に話題になっているように、IT大手の大量解雇など、アメリカにも景気後退の兆しが見え始めて、求人は減ってきています。だからUber Eatsの配達員やペットシッターなど、副業をする人も多くなっています。家賃の安い、ニュージャージー州やコネチカット州、スタテン島などの郊外に引っ越す人も少なくありません。

  • 少し前までは、金利が低いうちに多少郊外でもいいから、買える家を購入するという風潮もありましたが、今は金利も高くなって、家を買う人は減っているようです。

    それもあってか、住宅価格の上昇はピーク時よりも抑えられている印象です。

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    1.通勤で使っている地下鉄の車内
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    1.通勤で使っている地下鉄の車内 2.家の近所を会社の友達と犬の散歩でブラリ
  • そんな物価高のラッシュの中にあって、あまり影響を受けていない優等生が、「地下鉄」かもしれません。エネルギー費の高騰で、これからどうなっていくか気になるところですが、ニューヨーカーの大切な足として、できるだけ頑張ってもらいたいものです。

    そして最近、ニューヨーカーの間で静かに浸透し始めているのが、“エシカルな暮らし方”です。例えば、マイボトルを持ち歩いて飲み物代を節約したり、穴のあいた服を修繕して長く着たり。一番シンプルなのは、洗濯物を自然乾燥すること。そうした、お財布にも地球環境にもやさしいライフスタイルが注目を集めています。厳しい状況を自らのアップデートに変えしてしまうのも、ある意味、この街に暮らす人たちの逞しさかもしれませんね。

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    2.家の近所を会社の友達と犬の散歩でブラリ

    2022年9月に再開した「ブロードウェイ・ミュージカル」にも大勢のお客さんたちが戻ってきています。そして、マンハッタンに誕生した新名所、「ワン・ヴァイダービルト」は世界中から訪れた観光客が溢れています。日を追うごとに、華やかで活気あふれる街の姿が戻ってきていることを実感します。

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    皆さんの暮らしている日本はどうですか?きっともうすぐ元気な日常が戻ってくるはずです。そうしたらぜひ、ここニューヨークに、遊びに来てくださいね!

    以上、“ピーター”が、ニューヨークのリアルな“今”をお届けしました。

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ニューヨークの新名所
「ワン・ヴァンダービルト」の
アートのようなフロア
ピーター(左)とパートナー