ソルティア

SOLTIAコラム
TOWN WALK 》
Vol.1

スタートは「京都 錦市場」から。

400年以上の歴史を持つ京都の台所・錦市場。東西約390mの商店街には120以上の店が軒を連ね、新鮮な魚介類や野菜類、総菜や食材など、さまざまな商品が並んでいます。阪急河原町駅からほど近く、京都中心街からのアクセスも良いので、いつも大勢の人たちで賑わっています。一歩足を踏み入れた瞬間から、活気あふれる掛け声やおいしそうな食べ物の香り、行き交う人々の熱気で、空気は一変。そのグルメ情報はここではとても紹介しきれないので、ぜひ、ご自身で味の迷宮を探索してみてください。

今回は、ともすれば前を通り過ぎてしまいそうな、小さな、でも、長い歴史やこだわりを持った名店にスポットを当て、その奥深い魅力をレポートします。

1.アーケードなので雨の日も安心。2.商店街の東側入口近くにある「錦天満宮」は学問の神様。
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1.アーケードなので雨の日も安心。2.商店街の東側入口近くにある「錦天満宮」は学問の神様。
テイクアウトの店や食材店、食堂などが立ち並ぶ錦市場。食べ歩きは禁止なのでご注意を。

最初にご紹介するのは、「器土合爍(きどあいらく)。7代目店主の山本洋輔さんが創作して妻の千恵さんが絵づけをして仕上げる、人気の陶器店です。どれも心惹かれる作品ばかりですが、中でも人気なのが、可愛らしい女の子のイラストが描かれたシリーズ。春に受け取りにくるという売却済のぐい呑みが、店の片隅にちょこんと置かれていました。タイミングがあえば洋輔さんが店内でロクロを回して作陶する姿を見ることもできます。

「器土合爍」のオープンは16年前。その前は康雄さんが蕎麦屋を営んでいて、さらに遡れば、仕出し屋、塩干物を扱っていた時代もあるとのこと。建屋は鰻の寝床と呼ばれる京の町家造り。かつて店の奥座敷はサロンとして使われていて、常連客の中には、近代日本画の先駆者の竹内栖鳳や、文人画家で儒教者だった富岡鉄斎の姿もあったそうです。

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1.暖簾のロゴマークは​ご夫婦で名前を考え、​父の康雄さんがデザインを担当。2.お話を伺った6代目店主の山本康雄さんと千恵さん。​
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最初にご紹介するのは、「器土合爍(きどあいらく)。7代目店主の山本洋輔さんが創作して妻の千恵さんが絵づけをして仕上げる、人気の陶器店です。どれも心惹かれる作品ばかりですが、中でも人気なのが、可愛らしい女の子のイラストが描かれたシリーズ。春に受け取りにくるという売却済のぐい呑みが、店の片隅にちょこんと置かれていました。タイミングがあえば洋輔さんが店内でロクロを回して作陶する姿を見ることもできます。

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1.暖簾のロゴマークは​ご夫婦で名前を考え、​父の康雄さんがデザインを担当。2.お話を伺った6代目店主の山本康雄さんと千恵さん。​
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「器土合爍」のオープンは16年前。その前は康雄さんが蕎麦屋を営んでいて、さらに遡れば、仕出し屋、塩干物を扱っていた時代もあるとのこと。建屋は鰻の寝床と呼ばれる京の町家造り。かつて店の奥座敷はサロンとして使われていて、常連客の中には、近代日本画の先駆者の竹内栖鳳や、文人画家で儒教者だった富岡鉄斎の姿もあったそうです。

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3.店の奥に設置された作業室。​4.中でも人気なのがこちらの​女の子のイラストシリーズ。
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5.錦市場は昔から京の台所と言われ、陶器店になった今も嵐山上流にある『丹山酒造』の日本酒を販売。試飲もOK。

京都の台所で食の器を手に入れる。旅の計画に、そんな目的を組み込むだけで、歩く街の風景も少し違って見えてきます。

6.どれも思わず手に​取りたくなる​作品ばかり。​
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6.どれも思わず手に​取りたくなる​作品ばかり。​

次にご紹介するのは「椿家」。知る人ぞ知る、雑穀の名店です。お話を伺ったのは、錦市場で生まれ育った竹本弘子さん。親の店舗を継ぐ形で油店を始め、屋号の「椿屋」は椿油から命名したそうです。

御歳88歳の弘子さんは、 1968年、市場の井戸水が枯れそうになったことをきっかけに発足した商店復興組合の初代メンバーで、新たな井戸水を掘る計画にも尽力した商店街の生き字引き。 現在の雑穀店へと鞍替えしたのが55年前。良い品だけを吟味して、とにかくおいしく食べてもらいたい、そんな信念に賛同したお得意様には一流の料理店も名を連ねます。近頃は海外からのお客様も多くなり、お土産を持ってきてくれるお馴染みさんまでいるそうです。

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1.錦市場で生まれ育った竹本弘子さん(右)と昌代さん(左)

次にご紹介するのは「椿家」。知る人ぞ知る、雑穀の名店です。お話を伺ったのは、錦市場で生まれ育った竹本弘子さん。親の店舗を継ぐ形で油店を始め、屋号の「椿屋」は椿油から命名したそうです。

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1.錦市場で生まれ育った竹本弘子さん(右)と昌代さん(左)

御歳88歳の弘子さんは、 1968年、市場の井戸水が枯れそうになったことをきっかけに発足した商店復興組合の初代メンバーで、新たな井戸水を掘る計画にも尽力した商店街の生き字引き。 現在の雑穀店へと鞍替えしたのが55年前。良い品だけを吟味して、とにかくおいしく食べてもらいたい、そんな信念に賛同したお得意様には一流の料理店も名を連ねます。近頃は海外からのお客様も多くなり、お土産を持ってきてくれるお馴染みさんまでいるそうです。

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2.油店だった頃の看板が​いまも店先に。​

「てっぽう豆」「とら豆」「けしの実」「もち粉」「寒梅粉」「道明寺粉」、普段は馴染みのない豆類や粉物も、看板娘の昌代さんに尋ねれば、伝統的な調理法だけでなく、時代にあったレシピを丁寧に教えてくれます。

一級品を揃えているから、お値段も少し高めの品が多くなりますが、その味を知れば納得です。親しみと礼儀を大切に、昔ながらの錦市場を守っていくという気概を胸に、今日も店に立つおふたり。小さくともまっすぐな心意気を持った雑穀店です。​

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3.店先に並ぶのは厳選された自信の品だけ。​​

最後に訪れたのは、下駄や草履を扱う「大島履物店」。祇園、木屋町、先斗町などで働く人たちの普段履きの店として親しまれてきました。店内には下駄や草履が所狭しと並べられていて、なかでも目を引く高下駄は、料理人たちがまな板や調理台の高さに合わせて注文するそうで、今でも手づくりで対応しているとのこと。

磨り減った歯だけを取り換えて欲しいという依頼も多く、お伺いした日も修理を終えた高下駄が置かれていました。もうひとつの看板商品である草履類は、社寺や法被店にも卸している、地元からの信頼を集める逸品。先代までは下駄も草履もすべて店で作っていたそうですが、今は専門業者に発注して、店で仕上げているとのこと。

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1.昔懐かしい雰囲気の店構え。​2.鼻緒の色が美しい着物草履。​
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1.昔懐かしい雰囲気の店構え。​2.鼻緒の色が美しい着物草履。​

「マイペースだけど、“良い品を安く”と心がけて商売してきたから、同じものをデパートで買えば、きっと何倍もするはずだよ」と、店主の大島ただしさんは少し誇らし気に語ってくれました。そんな商売への誠実な姿勢が、この地で愛されつづけてきた理由なのだと頷けました。

ほかにも、関西ではモード履きと呼ばれているサンダル類なども並んでいて、若い女性のお客様も多く訪れるそうです。「最近は、来店するお客さんの半分くらいが外国の人になったね」と、世界的な観光地ならではの客層の変化を口にした大島さん。「オレの顔はいいからよ」と、最後まで写真は撮らせてもらえませんでした。

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3.地元の人たちから​愛されつづけてきた高下駄。​4.色とりどりの美しい鼻緒は​交換も頼めます。​
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3.地元の人たちから​愛されつづけてきた高下駄。​4.色とりどりの美しい鼻緒は​交換だけも頼めます。​

「マイペースだけど、“良い品を安く”と心がけて商売してきたから、同じものをデパートで買えば、きっと何倍もするはずだよ」と、店主の大島ただしさんは少し誇らし気に語ってくれました。そんな商売への誠実な姿勢が、この地で愛されつづけてきた理由なのだと頷けました。

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ほかにも、関西ではモード履きと呼ばれているサンダル類なども並んでいて、若い女性のお客様も多く訪れるそうです。「最近は、来店するお客さんの半分くらいが外国の人になったね」と、世界的な観光地ならではの客層の変化を口にした大島さん。「オレの顔はいいからよ」と、最後まで写真は撮らせてもらえませんでした。

3.地元の人たちから​愛されつづけてきた高下駄。​4.色とりどりの美しい鼻緒は​交換も頼めます。​
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3.地元の人たちから​愛されつづけてきた高下駄。​4.色とりどりの美しい鼻緒は​交換だけも頼めます。​

これも買ってみたい、あれも食べてみたい、そんな魅力的な店がひしめく錦市場。旅の想い出を膨らませてくれる活気にあふれた観光スポットです。

そして最後に、ちょっと追加情報も。京都では夜カフェが静かなブーム。錦市場に隣接する「omo café」は料理もおいしい人気のお店。昼間とはひと味違う古都の表情を味わいながら、少し大人な夜カフェタイムを楽しんでみるのもオススメです。​